外来生物法とは
・外来生物法は、なぜ必要か
外来生物の一部は、在来生物と性質が異なることから、日本国内の生態系や農林水産業、場合によっては人の生命や身体に深刻な被害を及ぼしています。また、新たな生物の移入により、より多くの同様の問題が発生する可能性も考えられます。
・外来生物とは
外来生物とは、もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物全部です。種単位で言う場合には、外来種となります。国外からだけでなく、国内での移動も該当します。そうした外来種のうち、この法律で対象とするのは、海外起源で何らかの被害を及ぼすような侵略的な性質を持つ侵略的外来種です。そうした侵略的外来種が特定外来生物に指定され規制されます。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。
被害の有無が明らかでない外来種の場合には、未判定外来生物に指定され、届出が必要になります。・どんな被害があるのか
外来種による被害は、大きく分けて以下の三つになります。
@生態系への影響 在来種が食べられる被害、食餌場所などのる競合、遺伝子汚染など
A人の生命・身体への影響 毒を持つ生物による被害など
・被害を減らすためには
以下の外来生物被害予防三原則 を守る必要があります。
@入れない…悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない
A捨てない…飼っている外来生物を野外に捨てない
・法規制の内容
外来生物法では、以下の規制と罰則があります。
@飼育、栽培、保管及び運搬の原則禁止(その場でのキャッチアンドリリースは対象外)
A輸入の原則禁止
B野外へ放つ、植える及びまくことの禁止
C譲渡し、引渡しの禁止(販売含む)
D個体識別等の措置の義務化
E罰則…個人の場合、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金(違反内容による)
法人の場合、1億円以下の罰金(違反内容による)
・外来生物を駆除したい場合には
特定外来生物の駆除は、基本的には国や地方自治体が行います。NPOなども関係する大臣の認定を受ければ駆除を行えます。
しかし、一般個人でも特定外来生物の駆除に貢献することはできます。特定外来生物のうち、アライグマ等の一部の鳥獣を除いては捕獲や採取についての規制がありませんので、それら以外の特定外来生物を捕獲や採取し、その場で殺処分するのは一般個人でも可能です。
(外来生物法の詳細については、環境省のホームページを参照してください)
合鴨農法…無農薬農法の一つ。農薬や除草剤を使わずにアイガモを田んぼに放して害虫などを食べさせます。
アカンダリニ症…ハチの気管内に寄生する感染症。働きバチを死に至らしめることもあります。
亜種…種の下位の分類。長年にわたる地理的隔離などの原因で、形態や生理的特長が変化した種のことです。
アナフィラキシー・ショック…ヒアリやスズメバチ等に刺されて人が死亡する原因です。アレルギー反応により全身性じんましん、意識障害、血圧低下、呼吸不全などの症状を引き起こします。
アライグマ回虫…アライグマの小腸に寄生する寄生虫(10〜20cm)。その卵を人が口から飲み込むと幼虫となり体内を移動して、時には脳に障害をおこしたり死亡することもあります。
アルカロイド…植物体に含まれる窒素を含む塩基性の物質です。ニコチン、モルヒネ、コカイン、アコニチン、キニーネなどで、動物に対して毒や薬品としての作用を持ちます。
アレロパシー(他間作用)…植物が他の動物や植物を寄せ付けぬよう化学物質を生産放出することです。セイタカアワダチソウなどが有名です。
アンブレラ種…食物連鎖・生態ピラミッドの頂点となる生物です。キツネ、オオタカなど。かつてアンブレラ種であったニホンオオカミが絶滅したことにより、シカやイノシシの増えすぎてしまう問題に発展しています。
遺伝子組み換え…生物やウイルスの遺伝子を人為的に操作して改変させ、自然化では起こりえない新たな種を作り出すことです。
遺伝的攪乱…遺伝子の異なる別種や亜種または地域個体群間で生殖・交配が起こることによって遺伝的固有性や多様性が乱されることです。
意図的導入…本来そこに住んでいなかった地域に外来生物を人為的に移動させて放つことです。
移入…ある生息場所や個体群のなかに別の固体が入って来ることです。
栄養繁殖…植物の栄養器官である茎・葉・根などから新しい個体が生じることです。この場合、元の固体と同じ遺伝子を持ちます。
塊茎…植物の地下茎の一部が養分を蓄えて瘤のように肥大したものです。
外為法(外国為替及び外国貿易法)…日本の貿易の基本法。ワシントン条約の動植物の輸出入は外為法によって管理されています。
外来種(外来生物)…自然分布域外に導入された種・亜種など。日本では外国貿易が盛んになった明治時代以降に国内に持ち込まれた生物を一般的に「外来種」としますが、狭義では地域的にそこに住んでいない生物が持ち込まれれば固有種から見て外来種となります。
外来生物被害予防三原則…@入れないA捨てないB広げない
ガウゼの法則…同じ場所や食べ物を利用し、同一のニッチを共有する複数の種は共存が難しいということです。わずかにでも競争力の勝るものが最終的に資源を独占することが多いからです。
カエルツボカビ症…アフリカ原産の真菌であるBatrachocytrium dendrobatidisを病原菌とする両生類の感染症。淡水にも拡散しカエル類の大量死・絶滅を引き起こします。
学名…学術的に用いられる生物の分類単位の世界共通名称で、ラテン語アルファベットで表記されます。属名と種小名の2語からなり(二語名)、さらに亜種に別れる場合は亜種名を加えた三語名で表します。
かご抜け…飼育されていた鳥が逃げ出したり放されること、またはその鳥を指します。
カゴわな…動物を捕獲するためのカゴ状のわな。おびき寄せるために餌などを使用します。
加入…ある個体群に、一定の発育段階に達した新たな個体群が加わることです。
カルタヘナ法…遺伝子組換え生物の販売・栽培・飼育を規制する法律です。コロンビアのカルタヘナで遺伝子組換え生物の国際的枠組みを取り決めたことからこう呼ばれます。
管理釣り場…自然環境を意識した釣堀のような場所を指します。
キーストーン種…相互作用の要となる生物のことです。里山において食物連鎖の要となるカエル類、草原における花粉媒介のハナバチなど。
帰化植物…外来植物のうちで野外に定着し繁殖するようになった植物のことです。この場合侵略性は関係なく使われる言葉です。
希少種…個体数が少なくあまり見られなくなった種のことです。
寄生植物…他の生物から水や養分を奪って生きる植物。まったく光合成をしない「全寄生」と自らも光合成をする「半寄生」とに分けられます。
寄生虫…寄生性動物全般を指しますが、外部寄生のダニなどよりも、内部寄生の回虫・肺吸中・条中などを指すことが多いようです。
駆逐…ある地域からある生物を追い払うことです。
クリプトスポリジウム…ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫でヒトに感染すると激しい腹痛を引き起こします。要注意外来生物のヒョウモントカゲモドキへの寄生も確認されています。
検疫…港や空港などで伝染病の病原菌や外注などの有害生物が持ち込まれないように、旅客や貨物などを検査し、必要に応じて隔離・消毒・没収などの措置を取ること。
交雑…遺伝子型の異なる種どうしで生殖・交配をおこなうこと。
鉤頭虫…体長数ミリ〜数センチの寄生虫の一種。動物の腸に鉤を引っ掛け寄生するがまれに人体にも入り込む。
固着生物…フジツボやイガイのように身体を岩などにくっつけ、ほとんど移動しないで生きる生物。
固有種…その国または地域にしか生存しない生物のこと。海に囲まれた島嶼などでよく見かけられるほか、日本にしか存在しない固有種は日本固有種と呼ばれます。
在来生物…その地域にもともと生息する生物のこと。対義語は「外来生物」です。
雑種…遺伝子型の異なる種間での交雑によって生まれた固体。
ザリガニカビ病…北アメリカ産のウチダザリガニなどはこの菌に耐性があるが、他の地域のザリガニ類が感染すると死に至ります。
ジクワット剤…毒性の強い除草剤。散布後すぐに活性を失うため、木や根を枯らさず農作物にも影響がないと言われています。
実験動物…医学・薬学などの実験で用いられる動物のこと。ラット、マウス、モルモット、ウサギ、イヌ、サルのほか、アフリカツメガエルやゼブラダニオなどが含まれます。
シノニム…ある生物に複数の学名がある場合、それらの学名をシノニム(同物異名)と呼びます。
種…生物分類群の基本単位。界>門>網>目>科>属>種の順番に分類します。
種内変異…同じ種の個体間で形質に違いが認められること。
種の保存法…絶滅のおそれがある動植物を保存するため国や地方自治体が行う施策を定めています。「国内希少野生動物種」に定められると、捕獲・採取・譲渡・輸出入が禁止され、生息地等を保護区に指定することができます。
住血吸虫…広東住血吸虫や日本住血吸虫 などの寄生虫の総称で、ヒト、ウシ、ヒツジなどの肝臓や血管内に寄生します。中間宿主は巻貝。
狩猟鳥獣…鳥獣保護法に基づいて捕獲が認められた鳥獣。鳥類はキジ・マガモ・スズメなど、哺乳類はクマ・イノシシ・タヌキ・ノウサギなど。
順応的管理…不確実性をともなう対象を管理する手法で、野生動物や生態系に用いられます。それらは@基本情報が得がたい不確実な系A絶えず変化する非定常系B境界のわからない開放系なので、当初から予測が外れることを見込んで管理システムを作り、モニタリングとフィードバック、軌道修正を繰り返し管理します。またその変化にともない失敗のリスクも生じるので、説明責任と合意形成が必要となります。
象徴種…個性的な魅力のため人々から特別に愛される生物のことです。ゲンジボタル、カワセミ、ハクチョウなど。えこひいきは良くないですが、自然保護運動の象徴となるならば許されるでしょう。
除草剤…雑草を防除するために用いられる薬剤。農地では作物に作用しないタイプのものが使われます。植物体に付着した部分にのみ作用する接触型と植物に吸収されて植物全体に作用する吸収移行型に分けられ、さらに後者は根に吸収される土壌処理型と葉に吸収される茎葉処理型に分けられます。
植物防疫法…農作物に有害な動植物の輸入を規制し、入り込んだ場合駆除するための法律です。規制対象はアフリカマイマイ、スクミリンゴガイ、昆虫やダニ、寄生植物、菌類、ウイルスなど。
食物網…野生生物界で食う食われるの関係が網目状の構造になっていること。
進化的重要単位(ESU)…種レベル以下の生物分類単位。同一種内でも形態や遺伝的に違いが認められたり、進化的歴史が異なる生物集団はESUとみなされ、保全単位として重要視されつつあります。
侵入…外来生物の非意図的な導入のこと。
生態的地位(ニッチ)…生態系や捕食関係の中である生物が占める場所や役割。
生態系…ある地域の「食物連鎖や共生などの生物間相互の関係」と「空気・水・土・光など無機的環境と生物の関係」を総合的にとらえた生物社会のまとまりを生態系と呼びます。生物は太陽光から栄養を生みだす生産者としての植物・それを食べる消費者の動物・それらを分解する微生物の分解者に役割分担し、生物と環境の間には酸素・二酸化炭素・窒素などの物質代謝系がバランスを取りながら持続してきました。ところが人間活動による環境破壊や外来種の侵略のため多くの地域で生態系の急激な変化、破綻を引き起こしています。
生態系サービス…豊かな自然としての生物多様性が人類に与えてくれる恩恵のことです。食料・木材などの「供給サービス」、気候安定や水質浄化などの「調整サービス」、精神的な癒しなどの「文化的サービス」、土壌形成・光合成などの「基盤サービス」の4種類があります。
生態的指標種…環境タイプを代表する生物種のことです。針葉樹林のキクイタダキ、渓流のミソサザイなど。
生物多様性…様々な生物達がおりなす自然の豊かさのことです。レベルごとに考えることができ、遺伝子・種・生態系などすべてのレベルにおいて構成要因の生物はどれ一つをとってもかけがえがないと言うことができます。例えばニホンザルの群れの中にも様々な性格の遺伝子を持った個体がおり、一見役立たずに思える固体でも実は逃げ足が速く生き残る能力が高い場合、遺伝子レベルでその固体はかけがいがない存在だと言えるのです。
生物多様性基本法…2008年施行。生物多様性は人類の存続基盤なので、国や国民の責務を示し、生態系ネットワークを一体的に保全するように呼びかけています。生物を取り扱う法律体系の要でもあります。
生物多様性国家戦略2010…生物多様性条約締約国が作成する生物多様性の保全および持続可能な利用を進めるための基本的な計画として2010年3月に閣議決定されました。生物多様性を社会へ浸透させることや、森里川海のつながりやcop10後の目標などを計画しています。
生物多様性条約・・・1992年のリオデジャネイロ地球サミットにおいて国際環境問題の二本柱となる条約が生まれましたが、「生物多様性条約」と「温暖化防止条約」です。生物多様性条約の内容は@多様な生物とその環境保全A生物資源の持続可能な利用B遺伝資源の利用における先進国と途上国の利益調整です。2010年には生物多様性条約締約国会議cop10が名古屋において開催されました。
生態系ネットワーク…生態系と人間社会を共存させるために、森林や緑地を核として公園や池を点在させ、それらを茂みや緑道でつなげて鳥や動物が生活しやすいように整備してあげる必要があります。このような生態系のつながりのことを生態系ネットワークと呼び、生物多様性基本法でも重要視しています。
絶滅危惧種…個体の数が極端に減少し、絶滅の危機に瀕している動植物群のことを言います。日本では2007年時点で動植物合わせて3155種が絶滅危惧種に指定されています。
船体付着…運行する船舶の船体にさまざまな生物が付着すること。またバラスト水内に吸い込まれて移動する生物も多い。
単為生殖…卵が受精せずに生殖すること。この場合親子の遺伝子は同じものになります。
着底…底生生物の浮遊幼生が浮遊生活から底正生活へと生活様式を移行することです。
中間宿主…寄生虫が幼生と成体で宿主を変える場合、幼生期を過ごす宿主のことを言います。
潮間帯…満潮線と干潮線の間の領域のことで、潮の干満により露出と水没を繰り返します。
鳥獣保護法…鳥獣を保護し狩猟の適正化を図るための法律。哺乳類・鳥類・爬虫類に適用され、アカミミガメの遺棄などは罰金が課されます。
鳥獣輸入証明書…ペット業者などの民間団体「日本鳥獣商組合連合会」が発行している証明書。メジロなどの輸入鳥で国内にも類似種・同一種がいる場合に発行していますが、法的位置づけはありません。
通水障害…カワヒバリガイなどが利水施設に付着・増殖して水の流れを妨げること。利水回復のためには駆除が必要となります。
定着…外来生物が新しい生息地で生活し継続的に子孫を作る過程のこと。
デトリタス…生物体の死骸や排泄物またはそれらが分解されたもののこと。
電気ショッカー…水中に電流を流して魚などを気絶させる装置。外来魚駆除の場合、気絶しているうちにすみやかにタモ網ですくいあげます。
天敵利用…捕食者や寄生生物を使ってある生物を駆除・防除すること。
天然記念物…文化財保護法などで指定された学術上の価値の高い生物や地域など。
同定…生物の種名を見分けて決定すること。経験が要ります。
導入…外来種を人為的に自然分布域外へ移動させること。
動物愛護管理法…動物の虐待を防ぎ、国民に動物愛護の精神を持たせ、動物の管理に関する事項を定めた法律です。
盗蜜…セイヨウオオマルハナバチなどが花粉を運ばず花に穴を開けて蜜だけを盗み出す行為。
内水面漁業調整規則…各都道府県で漁業取締りなどを取り決めた規則。ブラックバスなどの移植禁止が定められています。
内分泌撹乱物質(環境ホルモン)…自然環境内に存在し、動物のホルモン作用を撹乱する人工的な化学物質。身近なところではフケを抑えるシャンプーに含まれるジンクピリチオンも環境ホルモンとして指定されています。
二次遷移…耕作放棄地や森林伐採跡地など自然の植生が破壊された後に始まる植生遷移。埋土種子などがいっせいに芽吹くため、進行が早いです。
ノゼマ病…ミツバチの病気の一つでノゼマ・アピスという病原虫の寄生によって発病し、糞や盗密によって伝染します。
バラスト水…船のバランスを取るための取水タンクの海水。取水する時に様々な生物を取り込んでしまうため、水生外来生物を拡散する原因になっています。
バラスト水条約…バラスト水中の生物を減らすための処理装置や水処理法を申し合わせる協定。2004年下剤で30カ国が批准。
バロア病…ミツバチへ寄生するミツバチヘギイタダニの吸血による障害。
ビオトープ…生物の生息空間のこと。学校ビオトープにおいては外来種導入の例が見受けられますが、生態系の教育のためにも避けるべきです。
腐蛆病(ふそびょう)…ミツバチの幼虫に生じる細菌性疾病。大きな被害をもたらすため、法定伝染病にも指定されています。
ブラックリスト方式…外来生物の輸入などに関する規制制度のうち、侵略的とされる種をリストアップする方式。メリカ、カナダ、イギリス、日本もこの方式を採用している。
ブルーリスト…北海道の外来生物リストとして作成されたもの。
ヘルペス・タマリヌス…リスザル固有の病気で、空気感染により他のサルに感染した場合には致命的となります。
変態…蝶など幼生から成体になる過程で形態などが劇的に変化すること。
防除…外来生物による様々な被害を抑えるために、駆除や侵入予防、分布拡大防止などを行うこと。
放蝶…蝶を人が育ててから野外に放すこと。または生態調査のため蝶に印をつけて放すこと。
ホワイトリスト方式…外来生物の輸入などに関する規制制度のうち、問題がないと証明されている種をリストアップしてそれらの輸入のみを許可する方式。この方式だと侵略性が疑わしいものはすべて導入防止することができ、外来種規制の厳しいオーストラリアではこの方式が採用されています。
マイクロチップ…動物の固体識別などのために体内に埋め込んで使用します。特定外来生物を飼育する場合の固体識別用に義務付けられています。
未判定外来生物…特定外来生物とは別に、被害を及ぼす疑いがあるか、不明なものの中から指定されます。
モニタリング…事業に伴う影響などを調査し評価してフィードバックに役立てること。
野生化…外来生物が野外に逸出し生息しているが、まだ定着に至っていない状態を指す。
野生絶滅…環境省レッドリストの評価ランクの一つで、飼育されている種以外は絶滅してしまった状態のことです。
優先…生物群集である種が優勢な状態にあることです。
緑化…狭義では播種や植栽により植物で覆うことを指しますが、広義では緑豊かな地域を整備することも言います。
目的はCO2削減、環境・景観の改善、防災などです。名古屋市では緑化条例が施行され、一定以上の建設工事には緑化が義務付けられています。緑化を行う場所により法面緑化、砂漠緑化、駐車場緑化、屋上緑化などがあります。
ラムサール条約…1975年に発効した湿地と湿地の生物(主に渡り鳥)の保護を目的とした条約です。渡り鳥は世界の生態系の重要な位置を占めますが、複数の国が協力しないと保護できないためです。日本最大の渡り鳥飛来地である名古屋市の藤前干潟はゴミ埋め立て場化する計画を住民の反対運動のため撤回し、2002年当条約登録地とすることができました。
レッドデーターブック…野生生物を絶滅危機のランク別に分類したもので、1966年に国際自然保護連合により始めて編纂された時、その表紙が赤色だったことから「レッドデーターブック」と呼ばれるようになりました。日本のデーターブック最新版(2007)では3155種が載っており、その内訳は、哺乳類48種、鳥類92種、爬虫類31種、両生類21種などとなっています。
ワイルドフラワー…痩せ地や放地でも容易に栽培できる園芸用草花の総称。ほとんどは美しい花を咲かせる欧米の植物です。
ワシントン条約…絶滅危惧種の国際間取引を規制する条約。規制を受ける動植物は付属書T、U、Vに記載されます。
IUCN(国際自然保護連合)…国際的な自然保護機関で1948年に創設されました。絶滅の恐れのある世界の野生動植物のリスト(レッドリスト)のほか世界の侵略的外来種ワースト100を公表しています。
TEEB(生態系と生物多様性の経済学)…2008年、ボンのCOP9でスクデフ氏が発表したレポート。生態系サービスの経済的評価を行うことによって、自然破壊活動を罰し自粛させ、国際的な自然保護政策を推進するものです。生態系の経済的価値を取引する市場を生み出し、生態系保全への補助金などの手法も紹介されています。侵略的外来種の輸入行為にももちろん経済のマイナス効果として罰金が課されるので商売として成り立たなくなるでしょう。日本の生物多様性国家戦略2010でもTEEBに触れています。